藤井風さんが気になる。
今年ファーストアルバムをリリースし、武道館での単独ライブを行うなど大躍進中の藤井風さん。
彼の才能は素晴らしく、技術面はもちろんのこと楽曲のキャッチーさ、抜群の表現力、男女問わず見惚れる色気などなど、挙げたらキリがないのだが…
私の心を掴んで離さないのは、彼が非常に自然体であるということ。そしてそれは、どうやら彼が持つスピリチュアル的な解釈に依るのではないか、ということである。
彼が自然体であることを実感できるのは、YouTubeに投稿されたライブ配信動画である。コロナ禍で自身のライブが中止となったことから催された自宅からのライブ配信で、この配信において藤井風はTシャツに高校ジャージという出で立ちで登場する。
万を超えるユーザが視聴する配信で、である。
しかも、演奏するときは地べたにあるキーボードで、う◯こ座りである。
トークは岡山弁バリバリで、隠す様子もなく淡々と喋る。
着飾ったり格好をつけたり、整ったプログラムを用意したりしてもよさそうなものだが、そんな雰囲気が一切感じられない。友人を自宅に招いて適当にピアノを弾いて遊んでます、くらいの雰囲気である。
この人は…
この人は、「自分は自分のままでいい」と心底思えている人なのだ。
スピリチュアルや自己啓発でよくある、「自己受容」。
すべてのものは一つであり、分離した今の状態で、それぞれの経験を楽しんでいる。
だから、みんな違って、みんないい。何者かになろうとせず、自分のままでいい。
真の自分、ハイヤーセルフにつながり、自分のできること、やりたいことを表現する。それが幸せで豊かな人生となる…。
あんまり書くと怪しくなってきそうだが、そんな雰囲気を感じるのだ。
その裏返しとなるのが、デビュー曲となる「何なんw」という楽曲。
曲に込められた意味を解説した動画があり、その中で彼はこんなことを言っている。
この曲は誰しもの中に存在しているハイヤーセルフを探そうという歌です
ハイヤーセルフとは神様みたいなもんで
天使・ヒーローみたいな言い方でもいいと思います
わしはハイヤーセルフが一人一人の内に存在していると信じてます
彼はエゴ・利己心・嫉妬とかそーゆー色んなネガティブな感情と無縁の存在で
彼の全ては愛です
つまりこの曲の中で「何なんw」と語りかけているのは、藤井風が誰かに言っているのではなく、ハイヤーセルフが自己に対して語り掛けている…というのを表現しているのだと思われる。
デビュー曲にして何という深さの歌詞だろうか。
その意図やメッセージをそのまま言葉で発言したら「怪しい人」と見られてもおかしくないが、それを軽快な曲に乗せて、説教がましくもなく伝えられるこのメッセージ性の高さ。
私自身、いわゆるスピリチュアルな話はかなり好きな方だが、一般的には怪しいと思われるのは重々承知している。だから普段は話に出すことはないし、人に勧めたりすることもない。
でも、必要な人には藤井風さんの楽曲を勧めればいいんじゃないか。彼は真実を話していると思う。頭ごなしにメッセージを与えて「こう考えろ」とやるのではなく、曲として楽しむことから始まり、そのあとに歌詞がスッと入ってくる。こんな方法は今までになかった。革命的である。
本題に戻ると、藤井風さんは「ハイヤーセルフ」が内にあると信じており、愛を中心として行動している。自分の中に神様が宿っていると考えているから、自信をもってありのままでいられるのだ。
成功したから偉いとか、失敗したから惨めだとか、そういう次元に彼はいない。
ただ、音楽を、表現を楽しんでいる…
それが、彼の強さなのだ。
今後の藤井風さんの活躍からますます目が離せない。